その日は疲れており、電子レンジで温玉を作ろうとしたら連続で爆発しました。今思い返すと水の量が足りなかったかな……ていうかもうやだ二度と電子レンジで作らない小鍋で作るあるいは買う。珍しく料理で失敗したおかげで元々荒んでいた心がさらに荒んでいきます。ちなみに温玉になれなかった何かは責任を持って食べました。味は普通の加熱した卵。当たり前だよ。
そんな中、ずっと心に引っ掛かっていることがありました。
「あの調味料の中のアレ、本当に虫だったのか？」
温玉の話いらないんじゃないかというくらい脈絡がありません。しかし、ずっと心の奥底どころかあからさまに気になり続けていたものです。キッチンに立つたびに気になっていました。それこそ温玉予定のものが電子レンジの中でボゴンと爆発する直前も。
問題の調味料は、半年前ある産直で購入しました。その地元では割と有名なものらしく、いわゆる「ご当地調味料」と呼ばれるもの。液体調味料で半年ほど使っても半分残っており、ふと容器を見たら内部に黒い点のようなものが付着していました。1ミリ程度の点は虫のような形状をしているような？ 振ると見えなくなってしま……なんで振ったんだよ!! バカ!! 私のバカ!! 無意識!!
おかげで「何かは分からないけど絶対に異物が混入している液体調味料」が誕生しました。でもなぁ、仮に1ミリ程度の羽虫か何かだったとして、うっかり口にしてしまっても害など無いのでは？ タンパク質タンパク質。だいじょぶだいじょぶオッケーオッケー。自分を騙そうとしてもやっぱり無理。イナゴの佃煮だって食べられないのに。昆虫食の是非以前に、虫の足だけなどバラバラになったものが大の苦手でダメ。直視すらできない。何一つもげていない個体なら平気。意味不明。まぁ何かあったんだろう、子供の頃に。
そんなこともあって、中身を確認すればいいのに気が進まず、しばらく放置していました。でも食べられないのなら冷蔵庫に入れておく意味がありません。冷蔵庫の肥やしにしてどうする。温玉も連続で失敗してるんだし何やったって裏目に出るんだから、ここらで思い切って中身を確認しなさいよ。
というわけで確認するため皿に調味料を全部出してみました。確かに異物は存在していました。でも、虫ではありませんでした。
毛でした。
毛。人の。4センチほどの、人の毛。そりゃあ世の中には人毛で作られた醤油などが存在したりしなかったりしますけども！ 毛が浸かった液体を飲んでも恐らく病気にはなりませんけども！ なんというか無理！ というのが正直な感想。だったらまだ小さな羽虫のほうがマシだった。ゴメンナサイと言いながら処分しようと思っていたけど、むしろ私がゴメンナサイと言われたい。ちなみに購入後（開封後）に混入した可能性はゼロに等しいです。容器の口が狭いのでピンセットで押し込みでもしない限り不可能かと。
仮にこれが外食、例えばラーメンに髪の毛が入っていたとしても、「調理中に入っちゃったんだろうな……イヤなものはイヤだけど、まぁ、うん」という程度の嫌悪感だったと思います。実話ですけども。それが購入した調味料の中に半年以上浸かり続けていた毛というだけでここまで「無理！ 無理無理無理無理！ 絶対無理！」と一気に嫌悪感が噴き出すのも不思議だな、と。いやだってなんか髪の毛っぽくないし……あああああああ！ もう！ 喝ーーーーーっ!!
ところで「毛が浸かった液体を飲んでも恐らく病気にはなりませんけども」と書きましたが、実際のところは全く害が無いとも言い切れないようです。食中毒の原因菌として有名なアイツ、黄色ブドウ球菌がいます。菌そのものは熱に弱くても、吐き出す毒素が問題。たぶん加熱しても無駄。エンテロトキシン、30分煮沸してもダメらしい。そりゃあ毛の混入に嫌悪感を示しても仕方のない話だよ。
結局のところ人体に害は出ませんでした（出ていたとしても証明のしようが無い）。しかし、結構な精神的動揺が発生しました。温玉の失敗など瞬時に吹き飛び、混乱して怒りどころか笑いが。あはははははははは。散々だよ。調味料と毛は速攻で処分。忘れたい、さっさと忘れたい。忘れたいのにブログに書き留めている。矛盾だ。
クレームを入れるべきか迷いましたが、仮に謝罪の言葉を頂戴したところで毛入りの調味料を半年も使い続けていたという事実は消えないし、むしろ製造者名がフルネームで書いてあるので、「ああ、この人のなんだ……」と余計にげっそりしそうで止めました。サイレントクレーマーと呼ばれてもいい、もう関わりたくない。それが本音。許せないというわけではないんですよ。でも、なんか、ごめん、イヤ。どうにも割り切れない気持ちでいっぱい。
ネットで検索すると惣菜なども作っているらしく、その製造風景を見たら割と普通の格好なんだなぁといった感じでした。大手メーカーだろうとどこだろうと異物混入は起こる可能性はあると分かっていても、あんまり対策など為されていなさそう。こういうリスクもあるんだなぁと学習し、購買意欲が減退した一件でした。げっそり。
