キレイな家を目指したい

物臭だけどキレイな家に住み続ける方法を模索しています

眠る権利

 眠らずに生きていける人間など通常は存在しないはず。過度に眠れなければ「不眠症」という病名が付く。生きるために人は眠るのだ、眠らなければ人は生きていけない。つまり生存権だ。日本国憲法の「健康で文化的な最低限の生活」という言葉が思い浮かぶ。そして私は阿呆なのでここから話を広げることはできない。だから身の丈に合わせよう。

 

「バイクがうるせえ(以下、罵詈雑言)」

 

 いろいろあって私は朝方まで起きていた。朝9時に「ああ、ようやく眠れる」と仮眠をしようと思った途端、近所の家のバイクが「ブオンブオンブオンブオン」と空吹かしを始めたのである。以前から時折こういったことがあり、「整備か何かか……うるせえ……」と思いながらもそれなりに耐えていた。たまに耐えられなくなって頭を掻きむしったりもしたが、9割方は耐えていた。

 人一倍バイクの音に敏感であることは自覚しているので、最近は道を走るバイクの音が聞こえてきたら自衛策として耳に指を突っ込んで塞いでいる。これ、割と効く。しかし近所の家のバイクは通りすがりではないので、下手すると2時間近く突発的に「ブオンブオンブオンブオン」「ブオオオオオオオオオオオオオオオオン」と聞こえてくるのがつらい。その度に耳に指を突っ込むのは面倒なのでイヤホンを耳に突っ込んで適当に音楽などを聴いてごまかしている。

 今回もイヤホンを耳に突っ込んで適当に音を流していた。が、それを無効化するように

「ブオオオオオオオオオオオオオオオオ

と、エンジン音が耳に突っ込んできた。

「ブオオオオオオオオオオオオオオオオ

何だ、そのまま爆発でもするのかという音。私の頭の中は既に爆発してるけどな。先日もうるさかった。立て続けにうるさいのは本当につらい。眠いのに眠れないのは本当の本当につらい。私が何か悪いことでもしたのか。眠らせない拷問か。田舎だから気にしないのか。田舎でもうるさいもんはうるさいんじゃ。

 家には母もいるので、うるささは共有される。しかし体面を慮り最終的には私が蔑ろにされて終わるので、「あの家のバイクがうるさい」という事実は共有されても愚痴は共有されない。親に愚痴をこぼしても余計なことを言われて余計にしんどくなるだけだ。昔からそうだった。だから私は真の悩みを親に相談したことなど無い。

 ほら眠れないもんだから余計なことまで考えて「ああ……消えられるもんなら消えたい」とさえ思うようになってしまったじゃないか。なにが「田舎でスローライフ」じゃコンチクショウ。どっちかといえばサバイバルじゃ! 柿の木に群がって抗争を繰り広げている鳥を眺めて思う。この世に平和など訪れることなどあるのだろうか。ところであの鳥の名は何だろう。ムクドリのような気もするが、逆光でよく見えない。

 

 ああ、頼むから眠らせてくれ。

 

 ようやくいろいろなものが静かになって眠れたのは昼の12時前だった。嫌だなぁ、こんな人生。秋の週末は嫌いだ。紅葉だ何だと人は浮かれて秋を満喫しようと行楽に出掛ける。バイクで田舎道を走り抜けていく。頼むから、せめて大通りを通ってくれ。憂鬱だ。