キレイな家を目指したい

物臭だけどキレイな家に住み続ける方法を模索しています

「汚れている」の判断基準は人それぞれ……?

 そもそも夫実家の冷蔵庫が気になってしまったのは、入院する前日に惣菜を作って渡していたから。ほとんど手をつけずに残っているのだろうな、勿体ないな。誰か食べてくれればいいけど、どうだろうなぁ。味付け薄めだから微妙だな。本来なら人に渡した後のことなどあれこれ考えるべきではないものの、恐らくは大量に残って腐って処分という道を辿ってしまうのではないかと思うと、つい気になってしまう。今回は緊急入院だったから仕方ない。

 半月ほど前から料理を作って渡すことが何度かあった。夫が夫母に「○○食べるか?」などと訊いてきて、私が作らされているという感じだ。まぁ必要であるのなら別にいいのだけれども、夫母に直接頼まれたわけじゃないというのが微妙に気になる。訊いたのなら自分で作りたまえよと夫に言いたい。というか言っている。しかし作らない。何なんだ一体。

 ところで料理を持ってくることに対して夫母はどう思っているのだろう。夫のことだからどういう訊き方をしているのか分からない。本当に言葉選びが下手なので意図が正しく伝わらないこともある。結果、「やたらやる気を見せている嫁」などと受け取られていたら嫌だ。やる気なんか微塵も無いのに張り切ってると勘違いされるのだけは御免だ。料理嫌いなんだよホントに。隙あらば料理したくないんだよ。やる気なんか微塵も無いよ。いつも強引に絞り出してるんだよ。

 どうも夫母は私のことを誤解している。旧居や夫実家でブチ切れながら片付けていたせいか「片付けと掃除が得意で綺麗好き」と思い込んでいるらしい。実際は全然そんなわけないのに、未だにそう思い込んでいる。だからこそ私に「時々様子を見て汚れてたら掃除してほしい」と言ったのだろう。だが私が片付けていたのは何も好き好んで片付けていたわけでもなければ綺麗好きだから片付けていたというわけでもない。先にも書いたとおりブチ切れていたからだ。逃れられない環境で尋常じゃないレベルの物の山や汚れを目の当たりにしたら、さすがの物臭でも堪え難くなり動かざるを得ない。つまり、よっぽどの理由があったから片付けて掃除していたわけで、よっぽどの理由が無ければ私は動かないのである。堂々と言うことかそれ。

 それゆえ入院中に時々様子を見て掃除してほしいと言われても、やる気はそんなに起きない。極端な話、1週間くらい掃除しなくても大丈夫じゃないかと思う。せいぜい薄く埃が積もるだけじゃなかろうか。それくらい退院日が決まったらサラッと掃除すれば済む話だろうに。

 そもそもの話になるが、無人ならともかく夫弟がいる。だから余計に分からない。私に掃除を望む意図がよく分からないのだ。この状況だし頼めばさすがに掃除するだろう。いや、だから「汚れてたら」と言ったのか? 行き届かない部分を頼むということだろうか。とはいえ「汚れてたら」ってどういう基準だろう。私の基準と夫母の基準との間にはマリアナ海溝くらい深い溝があると思うのだが。私が汚いと思ったら掃除しろということなら、それはもう大変なことになるのは明白だ。そして私は渡した惣菜が気になっている。ずっと夫母の言葉の意図を考えながらも、食材が無駄になりかねないことを気にしている。そんなに気になるなら見れば?

 というわけで見た。冷蔵庫の中を見た。夫に了承を得て見てみた。すごかった。全体的に黒っぽかった。物がギチギチに詰め込まれていて暗いのだ。奥が全く見えない。賞味期限は気にしたら負けだと思う。チルドルームは何をチルドしているのか皆目分からない。野菜室は今にも腐海に沈みそうだ。新鮮な野菜などどこにも無い。冷凍室の曲がった棒アイスは何を意味しているのだろうか。氷と一緒に入っていた棒アイスは何を意味しているのだろうか。そしてどこを見てもおがくずのようなゴミが溜まっているのは何故か。そりゃ掃除しないからだろう。陰鬱な空気が漂っているようだ。私が作った惣菜は、やはりほとんど残ったままだった。それはもう本当に仕方のないことなのだけれども、もはやそんなことなどどうでもいいくらい冷蔵庫の中がすごかった。どうすんだこれ。1週間放置したら余計酷いことになるぞ。

「様子を見て」 冷蔵庫の様子を見たら

「汚れてたら」 すっごくすっごくすっっっごく汚れてたんですけど

「掃除して」  これ掃除していいんですかね

 私の基準からしたら今すぐ冷蔵庫ごと投げ捨てたくなるくらい汚れていた。しかし夫母からしたら普通なんだろう。これは病気のせいじゃない、昔からだ。確認を取らず片付けたら……まぁ戦になるだろうな。なら訊けばいい。夫母の言葉の意図を考えて悩むくらいならさっさと訊けばいいのだ。

 というわけで夫に訊いてもらったが、私がやる気を出しているという余計な言葉を添えたことは非難したい。夫は本当に余計で見当違いな一言が多い。もっと言葉を選べ言葉を。おかげで「片付けないで」という単純明快な回答が得られた。拒絶だ。多分、やる気を出した私に全部捨てられると思ったんだろう。この辺は本当に故・夫祖母とよく似ている。まぁ無理そうな物を全部処分したらスッカスカになるので半分は当たっている。「そういうことではなく時々様子を見て床とか浴室とか汚れてたら掃除してほしいという意味だった」、だそうだ。だからそれ夫弟だってできることなんだけどな。まぁ別にいいけど。

 ひとまず夫母の意図が分かったので、もう冷蔵庫の中は気にしないことにした。そりゃあ気にはなるものの、片付けるなと言われたら片付けられるわけがない。私に実害が及ぶなら多少の無視もするだろうが、今は違う。冷蔵庫の中身がいくら劣悪な環境でも、野菜が腐って溶けようとも、私に影響は何一つ無い。酷い言い草だが、そこまで割り切らないとこちらの精神が腐ってしまうのだ。だから何もしない。気にしない。言われたことだけやればいい。オッケーだ。